スタイルを活用したアウトラインプロセッサーの構築
あなたの文章作成や情報整理を強力に支援するお役立ちツールになります。
1. 取り組んだ理由
アウトラインプロセッサーは「見出し」を並べ替えながら文章を入力・推敲・閲覧するワードプロセッサーです。これを使えば、論理的な文章やマニュアルを効率よく作成・閲覧することができます。この機能は、いくつかのエディターやワープロの中に組み込まれていますが、制限が多く、広く活用できるツールとは言えません。本稿では、Wordの「スタイル」を活用してあらゆる場面で使えるアウトラインプロセッサーを構築しましたので紹介します。この文章も今回作製したアウトラインプロセッサーで作りました。
2. アウトラインプロセッサー(アウトライナー)に必要な機能と候補アプリ
▶ 必要な機能
アウトライナーに必要な機能は次のようなものです。(1)「階層付きの見出し」を付けながら文章を書ける。(2)見出しの下にある文章は折りたたんで見出しだけの表示が可能。(3)見出しごとの移動が容易。(4)図・写真の挿入・表示が可能。(5)PC、スマホ等のマルチプラットフォーム対応。
▶ 既存アプリの問題と候補の選定
エディターのアウトライン機能はテキスト用で、写真・図を扱うことができません。見出しと文章が分離した(2ペイン)アウトライナーは、文章を作成する感覚が薄くなります。マルチプラットフォームに対応しないアウトライナーでは不便になる事があります。これらを踏まえると、Microsoft Wordが最も適した候補です。Wordは図形描画や文章校正など優れた機能を多数有しているので、これでアウトラインプロセッサーができれば一番高機能になると思います。
3. Wordによるアウトライナーの検討
▶ Wordのアウトライン機能の問題点
Wordにはアウトライン機能が備わっています。残念なことに、このモードでは図・写真の表示ができません。ですから、例えば図入りのマニュアルをアウトラインモードで読むことはできません。さらに、表示のデザインが良くないのか、アウトラインの操作を行っていると、いつの間にか文章の構造が崩れることが起こります。
▶ スタイルを活用したアウトラインの構築
上記の不満足を解決できる方法を探して、私がたどり着いたのは、「スタイル」機能の活用です。具体的には、スタイルの「標準、表題、見出し1、見出し2、見出し3、リスト段落、本文」に付与された階層を活用しアウトライナーとしました。これによって、必要な機能をすべて取り込むことができました。
4. 作製したアウトライナーの紹介と仕様
▶ 作製したアウトライナーの画面の紹介
作成したアウトライナーを、「アウトラS」と呼ぶことにします。下に外観を紹介しました。下図の説明をしますと、一番左が、今回作成したスタイルが表示されている「スタイルウインド」、その右隣が、「ナビゲーションウインド」で見出しが並んでいます。一番右が作製した文章です。ナビゲーションウインドで文章を並べ変えても良いし、文章中でもそれを行うことはできます。見出しの下の文章を隠すことも可能です。ちなみに、図では「3.Wordによる~」は折りたたまれて、中にある文章は見えない状態になっています。見てわかるように図は、本ブログの原稿です。このブログは「アウトラS」で作成した原稿を「Open Live Writer(OLW)」にコピペして、OLWの「Source」表示において“h3”に関するスタイル文を1行だけ書いて下書きとして投稿しました(<style>h3{ background-color: #d1e8ff;}</style>)。ブログの原稿書きがWordで可能になるなんて、意外な使い道も分かってラッキーでした。
▶ アウトラインの仕様(通称:アウトラS)
最後に、アウトラSの仕様をまとめておきます。
- (1)3階層のアウトラインプロセッサー(見出し1、2、3を使用)
- (2)フォントは「游ゴシック Medium」
- (3)文章全体で「左揃え」、「行間」;最小、「間隔」;0pt
- (4)「表題」:16pt、太字
- (5)「見出し1」:12pt、太字、マークは「数字」、背景;水色
- (6)「見出し2」:11pt、太字、マークは「▶」
- (7)「見出し3」:10.5pt、下線、マークは「〇」
- (8)各見出しは、連続的に入力可能。(思考を止めないように配慮)
- (9)各見出しの「リストのインデント」はスペースとする
- (10)「リスト段落」:10.5pt、標準、マーク;「かっこ数字」、背景;灰色
- (11)「見出し1~3」、「リスト段落」は先頭記号が目立つように「ぶら下げ」にする
- (12)「本文」は先頭行の「1文字下げ」を行う
5. まとめ
既存のアウトラインプロセッサーの問題解決するために、Wordのスタイルを活用してアウトラインプロセッサー(通称:「アウトラS」)を作製しました。本投稿では1回目として、概要について紹介しました。2回目では、アウトラSの構築に必要な、文章の既定の設定、スタイルの取り扱いについて説明します。3回目では、アウトラSの構築(スタイルの具体的な設定と使い方)について紹介します。